星屑ビーナス
「…仕方ねーな、一緒に持ってやる」
「高さが近いから一緒に持ちやすいですね」
「シメるぞ」
『皆様ご準備はよろしいでしょうか?新郎新婦の登場とともにバルーンを飛ばしましょう!』
そう言いながら、私は自分の赤い風船と彼の白い風船の紐を合わせて持ち直す。そんな私の手を包むように、彼の手は上から重ねて触れた。
「……」
熱い手
優しい手
心を動かす、あなたの手
『それではまいります!3、2、1…』
瞬間、高らかに鳴る大きな鐘の音。それと共にチャペルのドアは開き真っ白な二人が現れた。
青い空には、飛んでいく沢山の風船。
「…、」
そんな景色を見て、綺麗だと思う
いつか自分もそこにいられたら、
そんな願いがよみがえる
「…綺麗だな」
「…はい、」
風船を手放しおろした後も、その手はまだこの手をつないだまま。