星屑ビーナス
(ったく、女って奴は…)
一人残されたその場で俺は溜息混じりに頭をかく。
ていうかあいつの婚約破棄の話って意外と有名?うちの部署の女たちはそういう話あんまりしないしな…。
「へぇ、なかなか言うのねぇ」
「!」
すると後ろから響いた突然の声にビクッと振り向くと、そこには珍しく髪をまとめ結った姿の和泉がいた。
その手にはポットを持っているあたり、お茶汲み用の水を補充しに来たのだろう。
「…聞いてたのか」
「えぇ、偶然ですけど。でもよかった、真崎さんがちゃんと叱ってくれて。危うく私が乗り込んで女同士の大バトルになるところでしたよ」
「見たくねーな…ていうか一人対数人でもお前が勝ちそう」
ぼそ、と呟いた俺に和泉はふふっと笑いポットに水を入れ始める。