星屑ビーナス



「まぁ、付き合ってた時は確かにいい人で…けど頼りないっていうか、相手の意見に流されやすいところもあったからいつか何か起きるんじゃないかとは思ってたんですけど」

「流されやすい…で、他の女に揺らいだってことか」

「良くも悪くも、誰にでも優しい人でしたから。…それって、人によってはすごく残酷なことなのに」

「……」



そう言った和泉の瞳は、冷たく暗い。



その気持ちも分かる気がする。

誰彼構わず冷たいよりは、きっと優しいほうがいいんだろう。けどそれはきちんとラインを決めなければ、結果として一番優しくない行為だ。

そいつはそれを分かってか、分からずか。



「…けど、元彼のこと気にするなんてやっぱり真崎さん知香のこと…」

「違うっての」



途端にまたからかうようにニヤニヤとしだすその顔に、俺はキッと睨み自分の左手の腕時計を見た。



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