星屑ビーナス
な、何でこんな所に…スーツ、ってことは仕事中?あぁ、クライアントがここなのか。
よく見れば確かに雰囲気が浅田に似てる…つーか本当でかいな。186以上あるんじゃないのか?うらやましい…ってそうじゃなくて!
落ち着け俺!何で動揺してんだ!
そうぐるぐると頭をめぐらせているうちに、気付けばその男はスタスタとこちらへ近付いてくる。
(な、何だ?)
近付くとますます大きく見える身長に、負けじと競うように俺は背筋を伸ばし立ち向かった。
「…あの、」
「…は、はい?」
「すみませんが、これ…さっきの彼女に渡しておいていただけませんか?」
「…?」
すると、そんな俺にもいたって柔らかな口調で差し出されたのは一枚の小さな紙。
それはどうやら名刺のようで『株式会社エメラルド 営業部・鳥羽圭介』の名前とアドレスや番号が載っている。