星屑ビーナス
彼には、関係ない
だけど関係あってほしかった
そんな事実に胸が痛い
(…バカみたい)
ていうか、そもそも何で圭介は名刺なんて…?
あんな終わり方、しておいて。
『××駅、××駅ー…』
考えるうちに着いた最寄り駅に、私は名刺をポケットへしまっては電車を降り歩き出す。
考えれば考えるほどわからなくなる
分かっている気持ちすらも、認められなくなる
あの人の気持ち
彼の気持ち
自分の気持ち
「…、」
改札を抜けると、広がるのはいつも通りの駅前の景色。けれど、今の私には『いつも通り』ではない景色がそこにはあった。
「……」
改札前の通り沿い。そこにあったのは、先日同様のスーツにコートを羽織った彼…圭介の、姿
「…圭、介…?」
「…知香」
こちらを見ては、その顔は少し嬉しそうに笑う。
眼鏡越しの優しい瞳に、感じるのは懐かしさと言い表せない複雑な気持ち。