星屑ビーナス



ーそしてやってきたのは、そこから少し歩いた先にあるファミレス。ちょうど夕食時にも関わらず店内は平日のせいかさほど混んでいない。

そんな店内の端、窓際の席に座り注文したコーヒーが運ばれてきてもまだ無言のままだった私たち。

重い沈黙を破ったのは、圭介の一言だった。



「…名刺、受け取ってくれた?」

「……」



うん、と声には出さずに頷くと、目の前ではその表情が悲しげに笑う。



「連絡、待ってたんだけどな」

「…連絡して話すようなことなんてないから」

「…そっか」



穏やかに頷いて、突然その頭は下げられる。



「…何?」

「ごめん、知香」

「……」

「本当に悪かった…あの頃は、どうかしてた」

「今更何言ってるの?可愛い彼女はどうしたのよ」

「色々上手くいかなくてさ…すぐ別れた。一人になって自分がどれほどのことを知香にしたかわかった。ずっと謝りたかったんだ」

「…何が『謝りたかった』よ。謝られたって、何にもならない」


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