星屑ビーナス
『お前とは結婚できない』
あの日の、あの一言
たった一言
あのせいでどれほど傷付いたか
誰も信じられなくなって
結婚どころか恋愛もできなくなって
「…、」
一気に溢れ出しそうな言葉
彼を責めるばかりの言葉
けれどそれは、目の前の表情に止められる
ごめん、そう言いながら頭を上げてこちらを見る目もあの頃と変わらない。
(…あの頃と、同じ)
付き合ってた時も、そう。
喧嘩するといつも圭介がこうやって謝って
私が悪くても『ごめん』って
変わらなすぎて困る
あの頃の気持ちに、戻されそうな自分
けど、だけど
「自分勝手って、分かってる。けど、ごめん…やり直したい。知香といたいんだ」
『お前の気持ちはお前だけのものだ』
『周りの言葉や目に流されないで思ったほうを選べ』
「一生、知香のことだけ大切にするから…」
思った方を、選ぶ
私の気持ちは、私だけのもの
誰にも左右されない
それは過去に愛した人の言葉ですらも