星屑ビーナス
「私の知ってる優しい人は、優しさを使う時を分かってる。優しくしてほしい時や、するべき時をちゃんと理解しようと触れてくれる」
傷付いた心が、知った“優しさ”。
「普段は冷たくて厳しくて、おまけに人の傷口にだって容赦無く触れる。だけど、それも包み込むくらいのあたたかさをくれる」
彼はいつもは厳しくて
嫌味も言うし、越えたい壁であって
真っ直ぐに向き合っては人の心にも平気で触れる。
痛くたって拒んだって
離してくれない
触れて、掴んで、抱きしめる
あたたかくて優しい、その腕で
「…そんな人を、知ってしまったから。やっぱり圭介とは、続きはないよ」
「……」
隠すことなく正直な気持ちを呟いた私に彼は何かを悟ったのか、悲しげに、けれど諦めにも似た笑みを浮かべた。