星屑ビーナス
「ラメ入りのクリアケースに入った化粧品セット、か…」
「は、はい。夏ってどんなにいい化粧品使っても、結局化粧直しするじゃないですか。だから持ち運び重視に軽くて、でも綺麗めに見えるクリア素材のケースのコンパクトとかアイシャドーとかどうかなと思って」
「持ち運び用のポーチも水に強いビニール素材、ミントブルーとライトピンクの2種類…」
「……」
頭の中でイメージを膨らませているのであろう間の、少しの無言。こういう時の真崎さんはいつも表情が読めなくて、私はこの時間が一番緊張する。
良いか悪いかどちらだろう、何を言われるだろう、そうドキドキとする心臓。瞬間、彼は書類をデスクの上に置いた。
「…よし、いいだろう」
「!!本当ですか!?」
「夏らしくていいと思うぞ。持ち運び重視っていうのも、女じゃないと出ない意見だしな。あとは会議で他の意見も入れる。だがベースはこのデザインでいく」
「っ…やったー!!」
重い空気を断ち切るようなその一言に、私は緊張感から解放されたように両手をあげて喜んだ。