星屑ビーナス
「あ、奥谷。丁度いい、お前チーク塗ってないだろ」
「え!?いや、私は…その、結構です」
「?何言ってるんだよ。こっちこい」
日頃チークを塗らない私は彼のその言葉に思わず腰が退けてしまう。
そんな私にも容赦なく、真崎さんは私の襟を掴んで引っ張り無理矢理椅子に座らせた。
「いや、本当チークとか似合わないんで!他の人に…」
「肌の色で見て奥谷は薄目のピンクだな」
「ピンク!?絶対似合わない!私に可愛いのなんて似合わない!」
「うるさい。少し黙れ」
そして彼はチークブラシに粉をつけ、手の甲で色味を調整してそっと私の頬に乗せる。
くすぐったいくらい優しい感触に一度目を閉じてしまうものの、恐る恐る開くとそこには心なしか柔らかな雰囲気となった自分の顔が鏡に映る。