星屑ビーナス
「な、なんでそんな噂…」
「この前仕事の後に二人で夜の街に消えて行ったんですって?おまけに翌日二人して酒の匂いプンプンさせて、真崎さんに至っては前日と同じ格好…噂が出ない方がおかしいわよ」
「うっ!」
言われてみれば、あの日からやけに社内でも見られるようになったというか…何かひそひそ話されてる感じはあったというか。
恋人同士として噂されるくらい不釣り合いではないということを喜ぶべきか、事実ではない噂にまずいと思うべきか…。
うーんと頭を抱える私に、かおりはニヤニヤとした笑みのまま。
「よかったわねぇ、ようやく知香も次に進めて」
「ちっ違う!あれはただ一緒に飲みに行っただけで、別に付き合ってるとかじゃなくて…」
「こら、奥谷うるさい」
「!!」
そうしていると突然響いた声にビクッと振り向く。すると背後にはいつの間にいたのか、真崎さんと浅田さんの二人がいた。
「ま、真崎さん…今の話、聞いてました…?」
「?話?お前が何か騒いでたのは聞こえたが内容までは知らない」
「よかった…」
突然の登場に一瞬血の気が引いたものの、私の声の大きさしか気にかけていなかったらしい様子にほっと胸をなでおろす。