星屑ビーナス



「そういえば、奥谷。お前明日の合同会議のこと忘れてないだろうな」

「へ?…あ!!」

「合同会議?」

「大阪支社と札幌支社から色んな部署のリーダーや上の人間が集まってやる会議。いつもなら俺一人で出てるけど、今回からは奥谷もって上からの指示でな」

「……」



(すっかり忘れてた…)

真崎さんの言葉に会議があったことを思い出し、苦笑いをこぼす私にその目は呆れたように向けられる。



「…おい。忘れてただろ」

「す、スミマセン…」

「この前のお試し会の結果や感想、今季新作の売上と結果。何聞かれてもいいように、一通りまとめておけよ」

「はーい…」



こういうところはやっぱり上司で、やっぱり厳しい。



(空いた時間にやって、間に合わなかったら残業しよう…)

そう考えては頷き歩いていると、突然ガチャッと近くの部屋のドアが開く。



「…?」

「……」



そこから現れたのは、同じ社内でもあまり見覚えのない顔の女性。

小柄な体に小さな顔。胸元まである茶色い髪は綺麗に巻かれ、華やかな雰囲気を漂わせている。



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