星屑ビーナス



「浅田、俺こいつと部長の所行ってくるから。午後までには戻る」

「うん、わかった」

「奥谷、お前は今日中に忘れずに会議資料まとめておけよ」

「はーい…」



そして足早にその場を歩き出した彼に続くように、女性もその場を歩き出す。



「…、」



一度こちらを見ては、小さくぺこりと頭を下げて。



(か、可愛い…!)

あんな仕草ひとつに、同じ女の私までキュンとさせられる…!

あの子モテるだろうなぁ…ていうかうちの会社って何でこんなに女性のレベル高いんだろう。そしてなぜ可愛い子ほど真崎さんと仲がいいんだろう…!



次々と湧き出る思考に、一方その場に残された浅田さんははぁー…と息を吐き出した。



「そっかぁ…大阪支社ってことは久保さんもかー…」

「久保さん?…って今の子ですか?」

「うん。久保郁美ちゃん、って言って元本社勤務の現大阪支社勤務。俺と悠の2つ年下で、大阪支社の営業部部長補佐」

「へー…可愛くて仕事も出来るなんて、すごいですねぇ」

「うん。それでもって…あ、やっぱ何でもない」

「?何ですか?途中でやめられたら気になるじゃない」

「あー…けど、奥谷さんの前では…その、」

「?」



浅田さんは何かを言いかけたものの、私の顔を見ては言葉を濁した。

そんな言い方をされてはこちらは余計気になってしまうもので、かおりと二人首を傾げ問うと彼は観念したように頬をかく。



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