星屑ビーナス



「…なるほどね。元カノ、可愛い顔して攻めてくるわねぇ」

「……」



涙で既に化粧もボロボロとなった顔で話し終えた私に、かおりは屋上の柵に寄りかかりポケットからハンカチを一枚取り出し差し出す。

…ありがとう、とそれを受け取り涙を拭うと滲んだマスカラが布を黒く染めた。



「そもそも知香は、真崎さんのことどう思ってるの?」

「……」





彼の、こと





「…雑で、厳しくて…だけど優しい人だと思う」





怒って揉めたりもしたけど

いつも真っ直ぐ向き合ってくれる





「…好きだと、思う」





愛しいと、想う

小さく呟くと、その顔は呆れたように笑う。



「やっと認めたわね」

「…うん、」





やっと、認められた

自分の気持ち



かおりと同じように柵に寄りかかり街を見下ろせば、景色はチカチカと都会の明かりできらめく。



「だからこそ同情だったりしたら立ち直れないし、未来を考えても信じ切れない自分が嫌」

「……」



ぼそ、とこぼした本音にその手はバシッと私の頭を叩いた。



「いたい!」

「このバカ知香」

「え!?」



いきなり叩いてそれ!?



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