星屑ビーナス
「…、」
そうしていると不意に目が合ったのは、斜め向かいの少し離れた先に座る彼女…久保さん。
「……」
彼女はこちらを見てはにこりと微笑む。それは明らかに私へ向けられたもので、相変わらず可愛らしいけれど今の私には純粋に受け止めることはできない。
(…大丈夫)
私は気持ちをしっかり持つだけ。
昨日、かおりにもあれだけ言われたんだから。
怯みそうな心をそう立て直し、ぐっと拳を握る。
…伝えなきゃ
真崎さんに、好きって
けど、告白ってどういうタイミングでしたらいいんだろう
もしフラれた時はどうすればいいんだろう
本当にかおりと転職する?けどそれも逃げるようで…なんか嫌。
だけど婚約者に逃げられて、ようやく出来た好きな人にもフラれるなんて噂が回ったりしたら…!!
想像しただけで痛くなる心臓に、どうするべきかと頭を悩ませたその時。
「…、次!第二商品部!」
「へっ!?」
「さっきから呼んでいるだろう!ぼんやりするな!」
どうやら何度か呼ばれていたらしく、気付いた頃には上司は不機嫌そうにこちらを睨んでいた。