星屑ビーナス
(ま、まずい!聞いてなかった!)
「す、すみません…」
「ったく…会議中にボーッとするなんて、真崎、お前の所の部下は余裕だな」
「…、」
ところが、その矛先は真崎さんへと向けられてしまう。
(私のせいで真崎さんが言われるっ…)
「すっ、すみません!私個人の責任で…」
「あはは、すみませんね。大物でしょ、こいつ」
「…?」
けれどそれに対し真崎さんは、怒るでも謝るでもなく笑って私を親指で指差す。
「彼女は勢いが売りでしてね、物作ったり人前に出るのは大得意なんですけどこういった頭使う場所はどうも眠くなるみたいなんですよ」
「なっ!」
「まぁ、若さ故にってことで許してやってください」
この空気のなか冗談っぽく言ってみせるその言葉に、周りはあははと笑いをこぼした。
嫌味を言おうとしたのにこうも和やかな雰囲気になってはそれ以上は言うことが出来ず、上司はバツの悪そうな顔を見せる。
「…つ、続けろ」
「あっはい!第二商品部の奥谷です!すみません、先日のお試し会の報告からさせていただきます」
彼のフォローによって、持ち直す空気。それに乗っかるように私は気を取り直し書類を読み上げる。
「…で、よって結果は前回比108.5%というー…」
フォロー、してくれた
ぼんやりしてたのは私なのに
そうやって、すかさず優しくするから
また好きになってしまうよ