星屑ビーナス







そうして何とか会議を終えた夕方、私は全員が去った会議室の片付けを黙々と行っていた。

部屋の中には、書類をまとめる真崎さんとの二人きり。



「…真崎さん。さっきはすみませんでした」

「?あー、いいよ。あのおっさん俺のこと嫌いだから何かにつけて嫌味言いたくて仕方ないんだよ」

「そうなんですか?」

「若いのがガンガン出世してきて目障りなんだろうな」



至って普通の顔で言う彼は、ホワイトボードの文字を消し終えた私の頭を、手にしていた書類でぺしっと叩く。



「けど、会議中は会議に集中。わかったな」

「…はーい」



一応上司としての注意をしながらも浮かべられる笑顔に、心はドキと鳴る。



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