星屑ビーナス
「…あの、」
「?」
「大阪支社の久保さんって…元彼女、なんですよね?」
「……」
まさか私から聞かれるとは思わなかったのか、私の問いに彼は一瞬動きを止めた。
「…浅田から聞いたのか?」
「す、すみません」
「いや、別にいいけど」
「……」
どう言葉を続けるべきか考えている様子の真崎さんは、くしゃくしゃとその茶色い髪をかく。
「…もし彼女がヨリを戻したいって言ったら、どうしますか?」
「…?」
「……」
言葉にしてから、気付く。
私、何聞いてるんだろう
こんなこと聞いて、『戻る』って言われたら
その時点で終わってしまうのに
怖いのに
触れて、しまう
「…なんて、私が聞いていいようなことじゃないですよね。すみません」
「……」
あはは、と笑っては誤魔化すように髪を耳にかける私に、その手はスッと伸ばされ私の手をそっと握った。