星屑ビーナス
(まさか、こうしてまた結婚式のことに頭を悩ませる日がくるなんて)
『結婚するか』
彼のその言葉から、決まった結婚。
けれど以前のこともあり“結婚式”というものに対してすっかり腰が引けてしまい、私は正直迷っていた。
そんな私に真崎さんも最初は『お前がやりたくないならやらなくてもいい』と言った様子だったし…。けれど先日、私の家に挨拶に行った時のこと。
『真崎くん…といったか。交際期間や経緯などある程度は聞かせてもらったが、もういい歳の大人同士のことだ、俺は結婚に反対する気も毛頭ない』
『は、はい』
『だが、ひとつだけ頼みがある』
『頼み…?』
『どうか、結婚式だけはきちんと挙げて貰えないか?』
『…?』
『うちの知香は…その、一度ダメになっただろう?だからこそ、“結婚式”という大事なことを嫌な思い出のままで終わらせてほしくないんだ』
『お父さん…』
うちの父はいつも静かで、どちからといえば母に押されっぱなしの人。そんな父が、自らきちんと話して頭を下げた。
その姿に、私も今更気付いた。私の結婚や結婚式を楽しみにしていたのは、両親だって同じだということ。
そんな姿を見たら、迷いだとか躊躇う気持ちはどこかへ行ってしまった。
『…はい、約束します』
『ありがとう。…母親に似て気の強い娘だが、よろしく頼む』
『必ず、娘さんを幸せにしてみせます』
それは真崎さんの心も同じだったようで躊躇いなく頷いてくれて、その日の帰り道二人でこの雑誌を買ってすぐ式場を決めた。
そこから日取りとプランと大体の内容を決めて…次は招待状のデザインやお互いの衣装決め、と細かいことを決める段階まできているのだった。