星屑ビーナス
「…ふー…いい湯だった」
「真崎さん」
そこから現れたのはお風呂に入っていた彼、真崎さん。
上半身裸にタオルで濡れた髪を拭う彼はホカホカと湯気を体から放ち、シャンプーのいい匂いをさせながら私の背後のソファへ腰をおろした。
「今日もお疲れみたいですね」
「あー…自分の仕事にプロジェクト作業…両立はさすがにきつい」
「何か飲みます?」
「水…」
その言葉に立ち上がり、冷やされていたペットボトルの水を冷蔵庫から取り出し手渡すと、ぐったりとだらしなく座ったまま彼はそれをぐいっと飲む。
その顔は、今日も疲れ気味だ。
「疲れてるところ悪いんですけど、ちょっとこれ相談してもいいですか?」
「あー…今は勘弁、これ以上頭使いたくない…」
「もう、そう言って全然話聞いてくれないじゃないですか」
「悪い悪い…明日あたりようやくプロジェクト関連のことが落ち着くから。そしたらちゃんと話聞くって」
真崎さんはそう宥めるようにというかは丸め込むように言って、ソファの前に座る私に寄りかかりくっつき頬にちゅ、と小さくキスをした。
(…かわいい)
珍しくそう甘えられるとそれ以上強く言えなくなってしまうもので、そんな私を分かり切っているのか彼はぽんぽんと頭を撫でてソファに寝転がる。