星屑ビーナス



「でも、三村さんと真崎さんって本当に何もなかったんですか?」

「へ?」

「って、ちょっと!かおり!」

「いや、だって気になるじゃない。同期で仲良くて何年も付き合いがあって…でも何もなかった、なんて」

「それは、そうだけど…はっ!あっ、三村さんすみません!」



純粋に疑問に思っていたらしい、突然のかおりの発言。

かおりのストレートな言い方は好きだけど、こういう当事者の目の前で言えてしまうところはすごく心臓に悪い…!

けれど思わず同調しかけては慌ててフォローをしようとする私に、三村さんはふふっと声を出して笑った。



「大丈夫ですよ、昔からよく誤解されますけど…本当に何もないです。仕事の上でお互いにいい関係ってだけですよ」

「あ…はい、前に真崎さんが言ってました。三村さんは戦友だ、って」

「戦友…そうですね、それが一番近いかもしれません。そのせいか異性としては意識したことなくて。…あと、これは真崎くんには言ったことないんですけど」

「?」

「…私、身長フェチなんです」

「…へ?」

「背が高ければ高いほど魅力的に感じるといいますか…実際私の旦那も190センチあるんです」

「…あぁ…」



それじゃあ真崎さんに意識しないか…

ひそひそと声を小さくして言う三村さんに、私とかおりはそれ以上疑問も浮かばず納得してしまう。


そんな私たちに彼女は綺麗に巻かれた髪を揺らし、手にしていたカップをテーブルに置いた。



< 295 / 334 >

この作品をシェア

pagetop