星屑ビーナス
「あ…お、奥谷、さん…」
「…お、お疲れ様です…」
「……」
やばい、まずい、みるみるうちにそんな表情になっていく彼女たちをじっと見て、気持ちを落ち着けるように息をひとつ吸い込んだ。
「…楽しそうだね、随分」
「え!?あ、えと…」
「定時まであと一時間あるわけだけど…その話、今しなきゃダメな話かな?」
「…、」
「そうでもないよね?なら、仕事戻ってくれる?」
「…は、はい…」
「…それと、そういうありもしない噂話やめてくれる?真崎さんも、体でつられるような人じゃないから」
「……」
「分かったらすぐオフィスに戻る!!今すぐ!!」
「はっはいい!!すみませんでした!!」
静かに怒りを伝えたかと思えば唐突に怒鳴り声を上げオフィスを指差す私に、彼女たちは大急ぎでバタバタと給湯室を飛び出して行った。
「……」
一人残されたその場で、はぁ…とこぼれる溜息。
(…あそこまでは、想像の範囲外だ)
体使って今の立場になんて、自分の仕事の成果すらもそう言われるなんて。おまけに勢いだとか焦ってだとか…不安を言い当てるようなことまで。