星屑ビーナス



ープルルル…ピッ

『もしもし』



すぐに出た彼の電話。その声の向こうからは何やらがやがやと声が聞こえており、そこが会社ではないことだけはすぐにわかる。



「あ…真崎さん?帰り遅くなるんですか?」

『あー、うん、少しな。でも飯は家で食うからとっておいてくれ』

「わかりました…残業ですか?」

『え!?あー、えーと…』

『お待たせ致しました、真崎様ー…』

『!!』

「…?」



そこが会社ではないと分かりながらも一応聞いてみた、その時電話の向こうの彼を呼ぶ女性の高い声。その様子から、どこかお店にいるのであろうことに気付く。



「…まさか、飲みに行ってます?」

『え!?いや、そうじゃないんだけど…っ〜…とにかく用が済んだらすぐ帰るから!!じゃあな!!』

「あっ!ちょっと…」



ブチンッ!

言うだけ言ってすぐ切れてしまった電話。ツー、ツー…と無機質な機械音が耳元に響く。


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