星屑ビーナス
「……」
…あー…、そう。仕事片付いたから、飲みに行くってこと?
それならそうって言えばいいのに、隠そうとしたりして…
こっちの気持ちも、知らないで
抱えていた気持ちと、今日こそはと思って持ち直そうとしていた心。夕方の出来事に対してのストレス。そしてこの電話…。
それらが積もり積もった瞬間、頭の中で何かがブチンッと音をたてた。
(…もういい)
自分だけの独りよがりなら、結婚式なんてやりたくない。
不安にならないように、彼はそう結婚を決めてくれたのに、結婚に向かう今こうしてまた不安になってる。
やっぱり勢いかな、形だけなのかな
久保さんと私では思い入れが違うのかな
お父さんに言われたから、挙げておくだけ?
(…なんて、また嫌な想像)
こうしてまたいちいち怖くなる
そんな自分が嫌になる
「…、」
泣きそうになるのを堪えて、私はバッグを持ち直し家を出た。