星屑ビーナス



昨日の電話で絶対誤解されたと思って急いで帰宅したものの…時すでに遅し。奥谷はいないし電話も出ない。俺は和泉の家は知らないし…と打つ手なく、夜が明けてしまった。

出勤してきてはいるようだからと話をしに行こうとした所、和泉に捕まり通りがかりの浅田も交えての事情聴取となったわけだった。



(…つーか、和泉怖い)

今にも噛みついてきそうな怒りを静かに漂わせる和泉に、言い訳をしても無駄であろうことは明らかだ。



「…確かに、仕事にかまけてまともに話も聞かなかったのは悪かったよ」

「本当ですよね、最低。ドレスも私と選んでこいって言ったらしいじゃないですか」

「え!悠、さすがにそれは…女心を分かってないというか」

「仕方ないだろ!女の衣装選びは長いし、そこまで時間作ることも出来なかったんだから…俺の都合に合わせると決めるのも遅くなるし」

「ふーん?理由はともかく、前の女には出来たことが知香には出来ないってことかしら」

「そうじゃなくてだな…」



笑顔を見せるものの全く笑っていないその目に、浅田が間に入り込んではまぁまぁと和泉を宥める。



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