星屑ビーナス



「このままじゃ本当に、結婚やめる!って言い出しちゃうかもねぇ」

「なっ!」



和泉は俺を不安にさせるようにニヤニヤと言ってみせ、真っ黒なその瞳でこちらをまっすぐに見る。



「それが嫌なら、ちゃんと行動でも示すことですね。信じさせるまで言うのも大事だけど、言葉だけじゃ意味がないもの」

「……」





言葉だけじゃ、意味がない





「…あぁ」




わかってる。

目に見えない、形に残らない言葉

それだけではきっと、その心が抱える大きな不安を全て消すことなんて不可能で

触れたり抱きしめたり、それ以外の行動でようやく伝わり切るものがある。



だから、示そう

きちんと想いが伝わるように



彼女との結婚は勢いも、確かにある

だけど、それだけじゃない

一生をともにする覚悟することすらも、怖くない

その手だから、つないでいきたいと願うこと



大きな大きな気持ちが、ここにあること




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