星屑ビーナス



「?はい?」

「……」

「…!」



ドアの向こう、静かな廊下に立つのは真崎さんの姿だった。



「…おくた…」

「っ…」



その姿を見つけた途端、驚きについ私は部屋のドアをバン!と閉める。



「って何だよ!閉めるな!開けろこら!!」

「っ…いやです!何なんですか!何の用ですか!」

「話しに来たんだっての!だから開けろ!!」



ドアを開けようと押す彼と、開けさせまいと抑える私。お互いぐぐぐと力尽くでドアを押し合う。



「奥谷!おいっ…開けないならドア壊すぞ!!」

「壊したら自費で直してください!!」

「っ…この頑固女!」

「何とでも言ってください!」

「あーもう…開けろ!知香!」

「…、」



『知香』

突然のその響きにドアを抑える力は緩み、途端にガチャンッとドアは開けられた。


< 309 / 334 >

この作品をシェア

pagetop