星屑ビーナス
「?はい?」
「……」
「…!」
ドアの向こう、静かな廊下に立つのは真崎さんの姿だった。
「…おくた…」
「っ…」
その姿を見つけた途端、驚きについ私は部屋のドアをバン!と閉める。
「って何だよ!閉めるな!開けろこら!!」
「っ…いやです!何なんですか!何の用ですか!」
「話しに来たんだっての!だから開けろ!!」
ドアを開けようと押す彼と、開けさせまいと抑える私。お互いぐぐぐと力尽くでドアを押し合う。
「奥谷!おいっ…開けないならドア壊すぞ!!」
「壊したら自費で直してください!!」
「っ…この頑固女!」
「何とでも言ってください!」
「あーもう…開けろ!知香!」
「…、」
『知香』
突然のその響きにドアを抑える力は緩み、途端にガチャンッとドアは開けられた。