星屑ビーナス
16.青空に描く



ー…



それは、とある晴れた日のこと。

日に日に暑さを増す7月終わりの日曜日。照らす太陽が肌を焦がすけれど、時折風も吹いてなかなかのいい天気。

そんな中、駅前の改札口には青にラメの輝く少し洒落たドレス姿の自分がいた。



(…11時、10分前)



ブレスレットのような腕時計をみれば、時計の針はもうすぐ約束の時間を指そうとしている。

そうしているとプッ、と軽く鳴らされたクラクションの音。それが自分に対して鳴らされたものだと、すぐに気付き車へ近付いた。



「おはよう、和泉さん」

「おはようございます、わざわざありがとうございます」

「ううん、いいよ。どうせ向かう先は一緒だしね」



そう車の窓から笑顔を見せたのは、いつもより明るい水色のワイシャツに身を包んだ会社の先輩・浅田さんだ。

乗って、と彼の一言に私は遠慮なく助手席へ乗り込むとシートベルトをしめた。


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