星屑ビーナス
「…私、昔から周りに馴染めなかったんです」
「…?」
突然ぽつりと呟いた言葉に、浅田さんはハンドルを動かしながら首を傾げた。
いきなり何を言い出すんだと思うだろう。けれど、今日は何だか昔話をしたい気分だから。
「子供の頃から顔もこんな感じで、年より上に見られてたし私自身も子供らしい子供でもなかったですし。周りの子と一緒に遊ぶ、っていうのが苦手だったんです」
『かおりちゃんは大人しい子ねぇ』
『見た目もそうだけど中身も大人っぽいわよねー』
『……』
言葉にしては、思い出す。
今思えばきっとあまり可愛げのない子供。
顔を褒められることは多くても、愛想がいいだなんて言われたことないし、通知表には毎回といっていいくらい『もう少しお友達と仲良くしましょう』と書かれていた。
「中学生くらいからは同性より異性に話しかけられることが多くて、そのせいで軽いいじめもあったりして」
「いじめ…」
「あ、まぁそうは言っても気にもならなかったからどうでもいいんですけど。…でもそんなだから、私友達いなかったんです」
「……」
「いなくても、別にいいとも思ってたし」