星屑ビーナス
『かおりって何かムカつく』
無視されても、元々話すことがないから気にならなかった。物を隠されても、無いなら仕方ないで割り切れた。
そんな私に飽きて軽いいじめはすぐに終わったし、すごくどうでもよかった。
私はいつでも一人で、暇な時は本を読んで時間を過ごす。それが当たり前だったから、別にそれでいいと思ってた。
「そんな和泉さんが、どうして奥谷さんと友達に?」
「さぁ?私もわかりません」
「へ?」
「何となくっていうか、流れっていうか…知香の勢いに巻き込まれたっていうか」
そんな世界が変わったのは、大学一年のこんな夏の始めの日。
『隣、座っていい?』
混雑した昼休みのカフェテリアで、そう相席してきたのが知香だった。