星屑ビーナス
そうしていると、コツコツと聞こえる革靴の音。
「どうしたそこ、女同士で集まってー」
「!」
その声に振り向けば、そこには丁度出勤してきた様子の真崎さんと浅田さんの二人。
相変わらずその茶色い髪は歩く度に揺れる。
「あらお二人さん、どう?今日の知香」
「わっ、ちょっとかおり…」
その二人の前に見せるように私を押し出すかおりに、二人の視線はこちらに向きまじまじと見つめる。
「あれ、いつもと全然違うね。可愛いよ」
「でしょう?前髪あるとまた違うわよねぇ」
「……」
お世辞か本音か、ニコニコと微笑んで褒める浅田さん。その隣では真崎さんがニヤニヤといやらしく笑う。
「ほーんと、可愛い奴だな奥谷〜。翌日すぐ実行するなんて素直すぎだろ」
「うっうるさいですよ!別に前髪は邪魔だったから切っただけですし、メイクだって気まぐれで…」
「あーはいはい。わかったわかった」
案の定、踊らされてやがるとでも言いたげにおかしそうにあははと笑って彼はその場を歩き出した。