星屑ビーナス
「煙草、いいか?」
「いいですけど…真崎さん、煙草吸うんですね」
「?今更。ずっと吸ってるぞ」
「普段会社ではあんまり吸ってないからじゃない?」
「あー、まぁな。喫煙室って嫌いなんだよ。煙だらけの小さな部屋入って煙草吸って…それなら会社では我慢するっての」
話しながらその煙草に灯される火。煙から漂う匂いは、あの頃嗅いでいたものとはまた少し違うもの。
(…相変わらず、苦手)
煙草の煙、吸う仕草
今朝の夢がよみがえりかける
(って、よくないなこれ。忘れろ忘れろ)
その記憶をかき消すように、私はビールをまた一口流し込んだ。