星屑ビーナス
「…ありがとうございました。助けてくれて」
「…別に、何もしてねーよ」
「それと」
「?」
「…さっきはいきなり、すみません」
「……」
ヒールを履いていない私と、彼の視線はほぼ同じ高さ。
水平に交わる視線は
心なしか、いつもより距離を縮めて
「なんでお前が謝ってるんだよ、アホ」
「アホ!?」
「…理由はわからなくても気に障るような発言をしたのは俺だ。悪かったな」
「……」
真っ直ぐに見つめ謝る彼に、心は掴まれる。
(悪かった、なんて…)
初めて見る、意外な顔