星屑ビーナス
「当然!昨日より売り上げ伸ばしてみせるんだから!」
「そんな元気になっちゃって…昨日の飲み屋でよっぽどいいことがあったのねー」
「へ?」
「結婚の話題振られてヘコんだ知香がニコニコして戻ってくるんだもの。さすが真崎さんよねぇ」
「えっ!?」
昨夜のことを目敏く指摘し分かり切っているかのように言うかおりに、思い出すのは彼の真面目な顔。
『悪かったな』
(…思い出すと、ダメだ)
肩を掴むあの手の感触が、忘れられなくて
また、心が音をたてる
「…ちょっと、何余韻に浸ってるの?何があったかくらい教えなさいよ」
「なっ何もない!何も!何もないよ!!」
「へー、あやしーい」
「ほっ本当何もないってば!あんな態度ばっかり大きくて身長は小さい男…」
バシッ!!
「いたぁ!!」
が、その時後ろから勢いよく頭を叩かれた。
こんな風に容赦無く頭を叩いてくるのは…そう恐る恐る振り向けば、そこには案の定不機嫌な顔で筒状に丸めた書類を手に立つ真崎さんの姿。