星屑ビーナス
好き、とか
それに似た気持ちとか
そんなもの私はもう持てやしない
小さく呟いた私に、かおりの目は首元に光る指輪へと向く。
「…いい加減、その指輪も捨て時だと思うんだけど」
「……」
その一言の意味も分かるんだ。
だけどきっと
私にはもう、あの頃のような気持ちは抱けない。
「おい奥谷!」
「!」
すると突然呼ばれた名前にビクッと振り向くと、そこに現れたのは噂をすれば何とやら…真崎さん本人。
その手には大きめのダンボールをひとつ抱えている。
「今日は30代以上の客が多いからガンガン試供品とパンフ配っていけ。これ、追加分な」
「…はーい」
その顔を見た途端また不機嫌になる私に、彼も何かに気付いたように眉間にシワを寄せた。