幸福最高記録更新中!
2つ並んだ扉。随分小さい頃にお父さんが作ってくれた古びたネームプレートが掛けられている。
弟の千幸も、中3になった今でも、友達にからかわれようと大事にしている。
音を立てると迷惑になると思い、静かに扉を閉める。
壁の向こうから聞こえる声からして、勉強中らしい。そしてカテキョは男性らしい。
少しホッとした。
(直ちゃんの女友達とかだったらどうしようかと思ったけど、良かった…。千幸に女性のカテキョがつくのも複雑だし)
まぁ考えれば当然の事なんだけど、アタシは自他共に認めるブラコンなのだ。
汗拭き用のシートを出して体を拭いていくと肩がヒリヒリした。見れば少し赤くなっていて、日焼け止め塗ったのに、とため息をつく。クリームを塗って、シャツでも羽織ろう。
(初対面のカテキョの前でキャミソールってのもね…)
来客中にシャワーと言うのも気が引けた。
それからアタシは、また静かに扉を閉めてお父さんが用意してくれているであろう麦茶の待つリビングへ向かった。
(喉からから…あっ、手ぇ洗わなきゃっ)