ぱすてるぴんく。




呼び捨て……

見てた…?

益々あやしい感じ。




『何で私のこと
知ってるんですか?』





先輩とはいえ
後輩の、しかもなんの接点のない私のことを知ってるはずないのに。





『ん?ああ。何でって?』




先輩は笑顔をピクリとも
動かさない。






『だって、皆言うから。』




『えっ!?うわっ!!!』




あ、と思った時には
手を引っ張られていて。


油断していた私は情けない声を上げてあっけなく
イスに倒れるように座る形になった。




『な…何!?わっ』



あわてて姿勢を正したけど
目の前には先輩の顔がアップで映し出されて身動きがとれなくなった。






そんな私に構わず先輩は
頬に触れてきた。


弧を描くように撫でる先輩の指。




な…何この状況。



早く逃げたいのに。
先輩の色づいた目に見つめられたら動けなかった。






『皆言うんだよ。』



『何を…』





だんだんと顔が近づいてくる。








『北野芽衣がいいって。』





『っ…っ!?』













次の言葉は出なかった。




私の目には先輩しか
映らなくなった。




唇がとても温かい。



キスされてるんだ…


私は、先輩に…












多分、抵抗すれば
逃げられたかな。



でも何でだろう。


先輩の色づいた目は







とても悲しそうだった。
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