victim





車に乗せられて、何の会話もなく車は走り続けていた。



リオという人も、こちらには一切顔を向けず、あたしと少し距離を置いた位置で


じっと前を向いている。







十分くらい経った時に、突然車の速度が落ちた。



そして、止まったのはとある倉庫の前。




少し古い、ただの倉庫だった。




リオは、あたしに下りて、とだけ指示した。




下りたら、茶髪の男が勝手に倉庫に入っていくから、あたしはその後ろをゆっくりとした足取りでついていく。



倉庫の付近には、カラフルな頭の不良が数人立っていた。


あたしをギロリと睨み続けているのは、なぜ。



そんな痛い視線を受けながら、



倉庫の中へと入る。





中へ入ると、さらに大勢の男達がいた。


その中で、中央にいる、目立つ男達。





幹部だろうな、って察知した。


明らかに雰囲気が違うんだもの。




それは見事に当たった。






そして、






あたしは、足を止めた。




違う、勝手に止まった。




そして震えだす。



足だけにとどまらず、肩まで震えていた。






だって。




「・・・っ・・・」




明らかに、総長のオーラを出すこげ茶の髪の男は。






良く知った、





あたしの兄だったから。


< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop