(短編)私と先輩の関係
「おい、水、溢れてる」
先輩は袖口で涙を拭いながら、もう片方の手で、私の後ろを指差した。
「ああ・・・!すっかり忘れてました!」
そこには、バケツに並々と注がれた水が。
慌てて蛇口をひねる。
(みなさんは節水しましょうね)
「バケツ、貸せ・・・お、俺もちょっと、言い過ぎた、から」
バケツの水を半分くらい捨てていると、先輩が手を差し出してきた。
恥ずかしいのか服の袖で顔を隠しながら、そっぽを向いている。
隠しても無駄なのに。
ほんとう、可愛すぎます。
「先輩一人だけじゃ頼りないので、私も一緒に持ちますよ」
「ん、うん・・・」
二人でバケツの取っ手を掴んで、並んで歩く。
「あ、私、一年の守山美鈴っていいます」
「へえ・・そう・・」
無関心そうに返事をしながらも、その後先輩は教室掃除を手伝ってくれました。
初めて話した先輩は、イメージと少し違いましたが、悪い人ではなさそうです。