(短編)私と先輩の関係




「意味なんて多分、ないんだと思います・・・ただ、先輩のためになりたいって、思うだけです」



そうとしか、説明がつかない。



少しの間、沈黙が流れる。

その間に、先輩が呼吸を整えるのを、背中で感じた。






そして、





「先生・・・結婚するんだって」





首筋に、声と、吐息がかかる。




「調子に乗ってたんだ、俺。期待したら辛くなるって、分かってたのに・・・先生に告白したら、俺のこと、ちゃんと考えるって言ってくれたから・・・」



そんなふうに泣くなんて、先輩、ずるいですよ・・・



「好きな人に優しくされて期待するのなんて、当たり前のことだと思います」


「そ・・かな」


「先輩は、先生と一緒にいて、幸せでしたか?」


「うん・・・こないだ、初めて・・したとき・・・すごい嬉しくて、幸せで・・・」



そっか、


この前、私が見かけたのが最初だったんだ・・・


私にも、先輩に幸せを与えることが、できるんでしょうか。


もしそんなチャンスがあるとしたら・・・





< 45 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop