恋の相手はお隣さん。
「仕方ないな……ヒントをやるよ」
しつこく食い下がっていると、フッと口の端を上げた響が私の腕を取った。
「わかるだろ――紗英」
ほとんどフィルターだけになった煙草を灰皿に捨てると、私の腕に紅く残っている痕にもう一度口唇を押し当てた。
ビクリと身体を震わせた私にお構いなしで、響の口唇が肌に色を付けていく。
さっきよりも強く吸われて、微かに感じるのは甘い痛み。まるでキスしてる時みたいに、背筋を這いあがってく“何か”が気持ちいい。
「ひび……き……っ」
漏らした声に、伏せられた目線が上げた響。熱を帯びて私を映しだす瞳が色っぽくて、大人の色香にクラクラする。
「……そろそろタイムリミットだな」
腕から口唇を離した響は、惚けていた私の頭をコツンと軽く拳で叩いた。
「なに惚けてるんだか」
「……だって」
あまりにも、響が色っぽすぎるから。そう言おうとしたけど、言葉にならなかった。