恋の相手はお隣さん。
その代わりにのぼせたように頬が火照り、くらくらと眩暈がする。
「その様子じゃ、当分無理そうだな」
「何、が……?」
私の火照りをなだめるみたいに、冷えた手のひらが頬を撫でた。
「正解するにはまだ早いってことだよ。宿題にしておいてやる」
触れる手とは対照的に、意地悪な目線で時計を指して「帰れ」の合図をされる。
「……本当に、響って狡いよね。子供扱いばっかりして」
「今更だろ」
シレっと言い放って、何もなかったみたいな態度をされて、無言で抗議の視線を向ける。でも抗議が効くどころか、フッと鼻で笑ってから、皮肉たっぷりに返された。
「最初の遠慮は何処へやら、だな」
「あっ……ごめん、なさい。響、疲れてたのに……」
響のために、なんて思っても、結局自分の感情を優先してる。これじゃ、呆れられるのも当たり前だ。
「……ま、見てて飽きはしないから別にいいさ。ほら、時間だ」
腕を引かれて立ち上がると、響は私の腕に付けた紅い印を目視した。
「その意味に見合うくらい、早く成長しろよ?」
「……わかった」