恋の相手はお隣さん。
「は? なんで馬鹿なのよ?」
「これだからなぁ……」
蒼汰はチラリと私の顔を見て、これ見よがしにため息をついた。
「ちょっと! 失礼じゃない!」
「お前さ、本気でその男の気持ちわからないわけ?」
呆れたように言いながら、アイスティーを飲む蒼汰。なんだか馬鹿にされている気がして、つい声を荒げる。
「わからないから知りたいんだってば!」
「お前、鈍感だよな。俺ちょっと、相手の男が哀れに思えてきた」
しみじみと言われ、テーブルの下で脛を軽く蹴飛ばす。
「だから痛ぇって!」
「自分が絵美ちゃんと付き合ってるからって、馬鹿にするからでしょ」
蒼汰と絵美ちゃんは同じ年というだけじゃなく、幼なじみ同士。だから普通のカップルよりも付き合いが長い分、お互いへの理解が深い。