恋の相手はお隣さん。
腰に回された手から、全身が熱くなっていく。
腕を組むよりも、手を繋ぐよりも、もっと近くに響がいる。身体を密着させるだけで、さっき自分からしたキスよりも、もっとずっと胸が高鳴ってしまう。
落ち着きなく響を見上げれば、クッと可笑しそうに喉を鳴らしていた。
「この程度で赤くなるんじゃ、まだまだだろ」
「……からかったの!?」
動揺している間に、コンビニの前に着いていた。するっと腰から手を離した響は、大声を出した私を気にも留めずに店に入って行く。
「響っ! 待ってってば」
「ったく……大人しくしてろ。すぐ済むから」
目線だけで、無言の圧力をかけられてしまった。
どうせ私は、腰を抱かれただけで赤くなる子供だ。出し抜いたつもりでいて、結局は響に敵わない。
ビールやおつまみをカゴに入れている響を目で追いかけながら、腹いせで背中に向って舌を出した時だった。