高校生彼氏
「痛てててっ!」
身体にかかってた忌まわしい重みが急に軽くなり、ヨロヨロっと倒れそうになる。
地面が近付くのが分かって反射的に目をつぶるけど、一向に衝撃はやってこない。
あれっと思って目を開けてみる。気付けばウエストに腕の感触。
見上げると………見知らぬ男の子の横顔と、腕を後ろ手にねじり上げられてもがいてるさっきのチャラ男。
-あ………助けてくれた…の?-
状況からいけば、どうやら胸元に入りそうになった手を掴んでねじり上げ、力から開放されて倒れそうになった私を支えてくれてるってことかな。
「立てる?」
「あ……大丈夫」
私が体制を立て直したのを確認すると、ウエストに回した腕を放してくれた。そしてついでに男の腕も………
「痛てぇな、ちくしょう……ぶっコロス」
二人はどこから出したのか手元に光るのは小さいナイフ。
「うるぁっ!」
千鳥足になりながら二人同時に男の子に向かって行く。
「危ないっ!!」
私は思わず顔を覆う。ドカッバキッと殴るような蹴るような音が響く。怖くて体が震える。
ふと気付くと、音はやんで辺りは静寂を取り戻している。恐る恐る目を開けると………倒れてるのはチャラ男二人だった。
「大丈夫?なんともない?」
助けてくれた男の子が肩で息をしながら振り返る。
-あ…………-
はっきり言ってモロ好みだった。156の私より20センチは高い身長。スラリと細身で無駄肉がついてない身体。少し長めの黒髪はサラサラのフワフワで、小顔で鼻筋が通ってて……そしていい匂い。
「どっか痛い?」
「ううん。あのっ、ありがとう」
お礼に頭を下げた目線の先にあった彼の左手からは血がポタポタと道路に染みを作っていた。
「切ったのね!?」
「あぁ、平気」