高校生彼氏
「凄いね。ライトが通ってる高校のレベル高いのは知ってるけど…頭いいんだ」
「そんなことないけど?」
平気な顔でアイスコーヒーのグラスをつついてる。
そんなライトを見てるとある不安が胸を過ぎる。
「ライトってさぁ、将来何になるの?夢は?」
これだけ何でも出来たら絶対将来的な夢があると思うんだよね。
そして胸を過ぎる不安………それは夢を実現するのにいずれ私が邪魔になる時が来るんじゃないかってこと。
「夢ねぇ……」
-ゴクリ-
「アキノのお婿さん?」
-ガクッ………-
なんでこんな緊迫してるのに茶化したんだろう………そういうとこずれてるよ。
「真面目に答えて!」
「…………医者」
「い?………」
私の手元にあるケーキの上からイチゴを盗んで自分の口に放り込む。
「俺医者になる。昔からの夢だし、だから医学部進むのに今の高校入ったんだもん」
「お医者………かぁ」
医者と看護婦の恋愛が簡単じゃないことはよく知ってる。 夜勤日勤の不規則な私達は医師達とは担当科がかぶらない限りほとんど時間が合わない。それで別れるカップルも多いんだよ。
それに……私達間の問題も。
「ライトが医師(せんせい)になる頃私30だね………」
高校卒業しても大学がある。その間は経済力ないから結婚出来ない。つまり…………あと6年(今年24になるから)は独身のまま。
何の約束もないまま6年も待てる?前カレみたいに途中でポイされることだって……
「アキノ?」
私の態度がおかしかったのか心配そうな顔で見つめてくる。
「何でもないよ☆叶うように頑張って!」
作った笑顔を張り付けて、ケーキの上に残ったもう一個のイチゴもライトの口に押し込む。
今が楽しくて現実を見てないライトと、現実的にならざる得ない私…………