高校生彼氏
「うちの看護師が大変なことを…本当に申し訳ありませんでした。後ほど親御さんにも謝罪させて……」
こんなガキの俺にも二人して深々と頭下げるんだ。なんかこっちまで恐縮しちまう。
「看護婦さんのことあんまり叱らないでやって貰えます?」
「は?」
「俺が無理な事頼んだから看護婦さん躓いちゃって…。悪いのは自分なんで。親の謝罪とかいりませんから」
俺の言葉に目を丸くしてる看護婦。目と目が合った。『黙ってろ』と軽くウィンクしてみた。
「これ以上はもういいです」
婦長もなにか悟ったのかそれ以上は何も言わず、外れた点滴を直し、傷口の消毒を看護婦に言いつけるとにこやかに頭を下げて退室して行った。
残された看護婦はまだその場に立ち尽くしたまま。
「看護婦さん?消毒………するんでしょ?」
「えっ?あ、はい!」
ハッと我に返ったのかワタワタと用意し始めた。その動揺したような危なっかしい手つきがなんだかおかしくて………
「クスクス………落ち着いてしないとまた失敗するよ?」
バッと俺の方を見て………赤くなった!だから何でだよ!?
そしてバツ悪そうに目を逸らしながらぽつりと呟く。
「あの……重かったでしょ?ごめんなさい……」
傷口の消毒をされながら………ふと思う。
太ってて重いって言ったって、俺だって一応男だし筋力はある方だし支えられないことはない。今はたまたま傷縫ったばっかりだから弱いだけだっつーの(言い訳っぽいけど)。
「はい。終わりです」
用具をかたしてまた頭下げてる。気にすることないのになぁ……。