高校生彼氏
「ねぇ看護婦さん?」「はい?」
去ろうとしてる後ろ姿が心なしか元気がないように見えて、思わず呼び止めてしまった………別に用事はないんだけど。
「え~と…………背中丸いよ。背筋延ばして。そのほうが………いや、とにかく自信持ちなよ」
言っててハッとした。
俺今なんて言おうとしてた?そのほうが………綺麗だよ?←はぁっ!?
こいつのどこがだよ。どんくさくて笑うと目が隠れんだぜ!?何考えてんの俺。 ましてや年上の看護婦なんかライトとかぶってんじゃん。無理無理。
そんな自問自答してる俺に向かって恥かしげに頭を下げると、何も言わずに出て行ってしまった。
-え~………信じらんねぇ。
…………でも綺麗な目してたんだよな。清潔な洗剤の匂いだったし。手のひら気持ち良かった。体だってフワフワで腕もすべすべでさ。太いっていったって……嫌う要素………かぁ-
天井を眺めて考え込んでるうちにいつの間にか眠りに引き込まれていた。俺にしては珍しく女の子の夢を見ながら―――
翌日から歩く許可が出た俺は暇を持て余して院内をウロウロ。検温すっぽかして放送で呼ばれる事もしょっちゅう。でも……あれから例の看護婦にあたることはなかった。
ウロウロしながらも何故か気付くとアイツを探してる自分に驚く。
そしてもう一つびっくりする事、視界の中のどこにいても絶対見つけちまうんだよね。まぁあのガタイってのもあるんだけど……周りの雑音の中、声が聞こえただけでも判別できる俺って……相当重症。
そんなこんなで日々を過ごし、退院を目前にしたある日だった。