高校生彼氏




オヤジには笑顔を向けてたのに俺にはそんな怒った顔すんだな。せっかく助けたのに…………















「邪魔だったんなら悪かったな…………」







自分の声じゃないんじゃないかってくらい低い声。
そんなにオヤジのほうがいいならもっと触ってもらえばいい。もうアイツの顔見たくもない。
ふいっと顔を背けてその場を立ち去った。



部屋に戻る気もしない。飯なんか食う気分になんねぇし………。
結局昼に何回放送入っても部屋に戻らなかった。流石に探しに来られたけど知らん顔。こんな病院いつまでもいられるか。




どうせ明後日退院だ。傷の抜糸も終わったし、世話になる義理もないって意地になって夕飯も次の日の朝飯も昼飯も手を付けなかった。(もっぱら売店で買い食い)














その日の夕方。





屋上のベンチで寝そべって色々考えた。
明日の昼には退院できる。
そしたらもうあのウザい看護婦の事も考えなくて済む。



ずっと頭からはなれないモヤモヤ。
目をつぶると思い出すのは腕に残るあの柔らかな体の感触とおでこに乗せられた手のひらのあったかいぬくもり。それとあの綺麗な瞳………
でもアイツは助けようとした俺よりあのオヤジを選んだ。

ムカつく…………あれ?何でこんなにムカつくんだ?俺はD専じゃないのに。今までの彼女だって細身の子ばっかりだったじゃないか。
でもアイツを他の男に触らせたくない。これって嫉妬?わかんないモヤモヤする………










「居た~………やっと見つけた」







聞こえてきたその声にハッとした。聞き間違う訳もない紛れもないアイツの声…………




チラッと見ると汗ぶったらして肩で息して………ばっかじゃねーの?そんなに焦って探してんじゃねーよ。





また目をつぶる。悪い事した覚えないけど、なんだか気まずくて目を合わせられない……



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