高校生彼氏
「片岡くん病室戻って。先生の回診…」
「…………」
「片岡くん?」
手を頭の上に組んでたんだけど、Tシャツから覗く二の腕辺りに触れる暖かい感触。
-バッ!-
ビックリして飛び起きる。
「あ……ごめんなさい」
思わず振りほどいてしまったのか手を庇ってる。
「あの…この前は………」
「別に?俺には関係ないから」
立ち上がって背を向ける。
「ごめんなさい……」
消え入りそうな声。語尾が微かに震えてる?
「なんで謝んだよ。俺が勝手に……っ!?」
一言文句を言ってやろうと思って振り返った。その目の前の光景にビックリした。
「………なんで泣いてんの?」
ポロポロ地面に染みを作る涙。
大きな体を震わせてただひたすら泣いているその姿を見て…………胸がキュンと切なく疼く。
何で泣くのか分かんないけど……その涙を止めてやりたい、本気でそう思った。
「泣くな………」
拭う事もしないで流れてる涙をそっと指で拭う。
-ビクッ!-
ビックリしたのか顔をあげる。俺を見上げるその涙で潤んだ瞳。ドキッとする。なんだよしっかり女の子じゃねーか………
「嫌われたくない……」
「え?」
だって、俺なんかどうでもいいんだろ?オヤジを選ぶんだろ?
「理由はどうあれ、患者さんを傷つける訳にはいかなかったの。それが私の仕事だから…私が我慢すれば済む事だから…………でも結果的に片岡くんを傷つけてしまった」
「そんなん……」
喜んでた訳じゃない。我慢してたんだ…………こんなに震えるくらい嫌な思いしてたのに耐えてたんだ―――